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明鏡止水(めいきょうしすい) 第7話

Posted by ななえ くれあ on 21.2015 0 comments
明鏡止水 第1話       明鏡止水 第2話

明鏡止水 第3話       明鏡止水 第4話

明鏡止水 第5話       明鏡止水 第6話







    


「面白いものだな・・・イマン。今の私はこのような姿に見えるのか?」
青年は地に届くほどの長い黒髪を重たげに手ですいた。
「この間までは、イマンのように日の光を受けた麦の穂先の色だった」





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「だって、ほら、麦の刈取りが終わっただろ?もうすぐ、あの川が氾濫して、養分をたっぷり含んだ土が流れてくるじゃないか。黒々とした土をみんな待っているよ」
イマンは、定期的に緩やかに氾濫をおこし、国中の豊かな畑の礎となっている大きな川を指差した。
「では、この衣(ころも)の赤い色はなんだ?」
「・・・・・・それは・・・、僕の好きなリンゴとイチゴの色だよ」
言いながら、イマンは微笑んだ。






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「では、しばらくは私の姿は、イマンの気分によって、変わるというわけだな」
「イヤ・・・かな?」
イマンはちょっと顔を曇らせて青年をのぞきこんだ。
「構わないよ。私は私を感じる者の見方によって、様々な姿になる。風の鳴る音、雨の冷たさ、太陽の暖かさ、夜の暗闇、鳥のさえずり、生まれたての仔猫の吐息、どれも私の一部だ」
青年の口調は穏やかだった。
イマンは彼といると、不思議な安らぎを覚えていた。





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「ねぇ、どうしてみんな、君が見えないのかなぁ?」
「・・・・・・・私は見ようとして見えるものでも、聞こうとして聞こえるものでもないからだ・・・・・・」
青年の長い髪が、ひと房風に舞った。


「僕が初めて君を感じたのは、あの森でだよ」
「ああ、そうだな、あのとき、イマンはまだほんの小さな子供だった」
「お父様やお兄様とはぐれて、一人ぼっちになったのに、不思議と、ちっとも怖くなかったんだ。なぜだか、とても懐かしい場所にいるみたいで、何もかもが、キラキラして見えたんだよ」
イマンはこの高台の神殿から見える黒々とした森を眺め、苦笑した。
「あのころは、『領主の5番目の息子は、誰もいない森や川のほとりで、一人で話したり、笑ったりしている』って、気味悪がられたけど、今では神殿の司祭長の座はどうかって言われるよ」





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「私は崇(あが)め奉(たてまつ)るモノではない」
「みんなは、君を『神様』というけど・・・・・・」
「人は、自分で理解できないことを『神』とかいう枠に当てはめるのが好きなのだ・・・」





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「じゃあ、君のことは、何て呼んだらいいのかな?」
「好きなように呼んでくれて構わないよ」
「でも、『神様』はダメなんだね?」
イマンはわざと大げさにため息をついた。
「それじゃ、僕が君の呼び名をつけてもいい?」
イマンの問いに、青年は穏やかに微笑むと、今度は彼がイマンに問いかけた。
「今、イマンの心を占めているもの・・・手放すつもりはないか?」





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青年の問いに、イマンは少し押し黙ったままでいた。
「・・・・・・君は、なんでもお見通しなんだね・・・すごいや」
そして、深いため息をつくと、イマンの父が領主として住まう城を眺めた。
「近隣の国が、水の豊かなこの国を手に入れようと、画策しているって・・・・・・。お姉さまたちが、政略結婚で嫁いでいるというのに・・・・・・」
領主の一番末の子供であるイマンが物心ついたときには、上の2人の姉が、すでに他国へ嫁いでいた。
「僕は・・・・・・お兄様たちのように、剣は得意じゃないけど、お父様の力になりたいんだ・・・・・・」



つづく


返信です↓

明鏡止水(めいきょうしすい) 第6話

Posted by ななえ くれあ on 12.2015 0 comments
明鏡止水 第1話       明鏡止水 第2話

明鏡止水 第3話       明鏡止水 第4話

明鏡止水 第5話





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「今のお前には、私の髪が血のように赤く見えるのだな・・・・・・」
青年が自分の髪をなでた。





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「この色は、お前の中に閉じ込められた記憶の色だ」






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「お前が自らここへ来たからには、その記憶と向き合うということだ・・・・・・。イマン・・・・・・、昔話だ・・・。かつて私は、お前と出会うよりはるか昔から、ここに居た・・・」






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「お前はこの小国なれど豊かな地で暮らしていたのだ・・・・・・。お前は、大概の者が私を感じることができなくなっていた中で、稀有な存在だった・・・・・・」
青年が古い話を語り始めると、イマンの中に閉じ込められていたかつての記憶が緩やかに解き放たれていった。




「明鏡止水(めいきょうしすい) 第5話」に拍手ありがとうございます。

「【80㎝ボディに乗せてみた】の続き」返信です↓

明鏡止水(めいきょうしすい) 第5話

Posted by ななえ くれあ on 02.2015 0 comments
明鏡止水 第1話       明鏡止水 第2話

明鏡止水 第3話       明鏡止水 第4話





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「お前が私につけてくれた名も・・・覚えていないのだな・・・・・・」

紅い髪の青年が持つ水色の瞳が、奥から深い色を帯びていった。




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「イマン、お前は道に迷ってここへたどり着いたのではない・・・・・・。お前は自らここへやってきたのだ」




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「え?」



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「かつてこの地で暮らしていた時のお前の名・・・・・・、それが【イマン】だ」

青年の言葉が終わると同時に、空気の流れが変わった。
イマンには、まるで、長い間閉じ込められていた大気が一気に拡散したような、気がした。



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「・・・・・・今生に生れ落ちるとき、お前は望んでその名を選んだ」



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「何世紀もの間、お前は、時には暴君になり、奴隷になり、聖女になり、娼婦になった。男になり、女になり、老人になり、あるときには産声をあげることなく葬られた・・・・・・」

どこからか、水の滴り落ちる音がして、青年の声と共に、辺りに反響した。




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「何度生まれ変わろうと、何者に生まれ変わろうと、お前はひとつの夢を見ていたはずだ」

青年はじっとイマンを見つめた。

こんな紅い髪の青年は知らない。だが、【彼】であっただろうものの何かは知っている。
イマンは、心の中では彼から目をそらそうとしているのに、なぜか、そうはしていない自分に気が付いた。


「この景色、この空気、この匂い・・・・・・。お前には悪夢でしかなかったようだが・・・・・・」




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「だから、お前は何度生まれ変わろうと、かたくなに拒み続けていた・・・。私の声も、そんなお前には届かなかった・・・・・・。私は待つことにした。お前が自ら、この地を訪れ、私を思い出すときが来るのを・・・」





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「イマン・・・・・・私にとっては、あの時から、こうしてお前と再会できるまでのときは、ほんの瞬きするほどのものだ。だが、お前の側の膨大な時の流れは、この人間の構築した建物を朽ち始めてしまった」




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「・・・・・・それは、この地に縛り付けられたお前の・・・・・・私との記憶をも、変容させ始めた。私が【この姿】を保っていられるのも、いつまでか分からない・・・・・・」

紅い髪の青年が美しい表情をゆがめると、彼の周りの霧が一層濃くなっていった。




「明鏡止水(めいきょうしすい) 第4話」に拍手ありがとうございます。すごく期間の空いてしまったお話ですが見てくださる方がいて嬉しいです。


ふだん、おちゃらけてるせいか、真面目な内容だと自分で不思議な気がするなぁ(笑

明鏡止水(めいきょうしすい) 第4話

Posted by ななえ くれあ on 28.2015 0 comments
んーと、どこまでいったんだったけ?と言うようなずいぶん前のお話の続きです(汗っ

明鏡止水(めいきょうしすい) 第1話

明鏡止水(めいきょうしすい) 第2話

明鏡止水(めいきょうしすい) 第3話




水18

「・・・・・・お前が来るのを・・・待っていた・・・・・・」 【明鏡止水(めいきょうしすい) 第3話より】







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「・・・・・・イマン・・・・・・」

その声はひどく優しい声音でイマンの名をつぶやいた。






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それは、イマンにとって、見たこともない、紅い髪の青年(?)だった。

「私は、お前が何度生まれ変わっても、いつもそばにいた・・・・・・」








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「・・・・・・イマン・・・・・・・・・私を覚えているか・・・・・・?」

彼はイマンの名を懐かしむように語りかけると、ゆっくりと被り物を取った。

「あれから、どれほどの時が過ぎただろう・・・・・・」












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紅い髪の青年はイマンを見つめた。

「お前が何度、人の形から離れても、そのたびに私は、新しいおまえとともにいたのだ・・・・・。だが、おまえは、私の存在どころか・・・その片りんにさえ気づくことはなかった・・・・・・」

彼は少しさびしそうにうつむいた。





水11

イマンには謎だらけだった。第一、彼は何を言っているのだろう?向こうはイマンのことを知っているようだが、イマンにとっては多分初対面である。それに、生まれ変わりだって?

イマンは、この幻想的な霧が幻覚を見せているのかと疑い始めたが、自分の中の奥底では「彼を知っている」という、間隔が、ごまかそうとすればするほど、よりハッキリと湧きあがって来るのだった。


「ど、どうして・・・僕の名前を・・・?それに、君は・・・?」

目の前に現れた青年に初めて口をきいたとき、イマンのまわりの空気も景色も、そこに貼りつかられたかのように、一切が動きを停止した。



続く



「お姉さま用だった?」に拍手ありがとうございます。
こっちのドールに大きすぎたお洋服がこっちには使えたり、こっちには小さすぎたものが、あっちのドールに使えたり、どこでどんな風にお下がり、逆お下がりができるか分かりませんね。とりあえず、レダに大きめかな?と思うものは、お姉さまに着れちゃったりするものもあるので、助かります。
服難民はこうして、助け合って着まわしていくのさっ(笑

明鏡止水(めいきょうしすい) 第3話

Posted by ななえ くれあ on 22.2015 0 comments
これまでのお話しはこちらです。(あまりにも前回との間隔空きすぎて、自分でもどんな話だったか忘れてしまいそうになったという・・・)あ、そういえば、LOONG SOUL(龍魂)さんとこのハンドパーツとかヒールパーツの紹介もまだでしたね。

明鏡止水(めいきょうしすい) 第1話

明鏡止水(めいきょうしすい) 第2話







水9-3

「ん・・・?」




水9-4

何かに観られている?
そんな感じがした。

「・・・・・・・・・・・・」





水10-2

物陰に動物でも潜んでいるのだろうか。事前情報では大型の肉食の動物はいないはずだった。
おそらく警戒心の強い小動物が、思わぬ来客に様子をうかがっているだけなのだろう。

しかし、万が一にも、素早く動けることに越したことはない。





水12

イマンは霧が薄らいだチャンスを狙っては、廃墟の姿をケータイのカメラに収め、荷物を背負った。


しかし、その瞬間。





水13

「えっ!?」

イマンは大地に吸いつけられるように、その場に尻もちをついた。

「なっ・・・?か、体が・・・・・・っ」

まるで金縛りにかかったかのように、四肢を動かすこともできなかった。

「じ、冗談だろ・・・・・・?何だよ?・・・・・まさか、魔物・・・・・・・?」

そう呟きながら、イマンは苦笑した。





水16

時の流れがひどく緩やかに感じられた。

相変わらず体には力が入らなかったが、それが恐ろしいとは思わなかった。


モヤモヤとした霧がイマンのまわりに立ち込めては引いていった。



サアッと霧が晴れたとき、イマンは前方に何かの気配を感じた。

「え・・・・・・?」





水17

それは、濃い霧に包まれて、おぼろげな姿を保っていたが、徐々にハッキリとした形になり、人の姿となっていった。






水18

やがてそれは、ゆっくりと、こちらに近づいてくるように見えた。

「・・・・・・お前が来るのを・・・待っていた・・・・・・」

霧をまとった、人の姿をしたものの声が何層もに重ねられて、辺り中に響き渡った。


〈つづく〉



「衣装モデルをしました」に拍手ありがとうございます。



返信です↓
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当ブログに登場するドールたちです。こんなに美しいドールで、真面目な内容やら、おちゃらけた内容やら、いろいろくりひろげております。

リノ:LOONGSOUL renoヘッド+LOONGSOUL73.5男2代ボディ(美白)

リノ
LOONGSOUL renoヘッド+LOONGSOUL73.5男2代ボディ(美白)


イマン:LOONGSOUL imanヘッド+LOONGSOUL73.5男2代ボディ(黄肌)

イマン
LOONGSOUL imanヘッド+LOONGSOUL73.5男2代ボディ(黄肌)


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レダ
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LOONGSOUL58女1代ボディ(黄肌)


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LOONGSOUL renoヘッド+LOONGSOUL73.5男2代ボディ(黄肌)


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シメオン(シーマ)
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瑠璃月音(ルネ)
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ヴァルルーニャ・ジルーシア(ニャーニャ)
LOONGSOUL wanwanヘッド+LOONGSOUL42.5女2代ボディ美白)


鳳鳴(フォンミン):LOONGSOUL Fengmingヘッド+LOONGSOUL73.5男2代ボディ(美白)

鳳鳴(フォンミン)
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容恬(ロンティエン)
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ルナマリア:Charmdoll Annaヘッド+Charmdoll66女ボディ(黄肌)

ルナマリア
Charmdoll Annaヘッド+
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スザク
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ルシアン:LOONGSOUL Niantongヘッド+LOONGSOUL42.5男2代ボディ(美白)

ルシアン
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